医療法が改正されて認定医療法人の認定申請期限が延長されたと聞いたのですが、その概要について教えてください。医療法等の一部を改正する法律の成立と令和8年度税制改正大綱について第217回国会に提出された「医療法等の一部を改正する法律案」の認定医療法人制度の延長(本改正案第13条)により、「良質な医療を提供する体制の確立を図るための医療法等の一部を改正する法律」(平成18年法律第84号)の附則改正案が成立したことを受けて、認定医療法人への移行計画の認定申請期限が現行の令和8年12月31日から令和11年12月31日へ3年間延長されました。本改正案第13条は医療法そのものではなく、過去の改正法(平成18年法)の附則を修正する形式をとっていますが、これは、認定医療法人制度自体が平成19年以降の「持分あり医療法人」の新設禁止に伴う経過措置として位置づけられているためです。また併せて令和8年度税制改正大綱に謳われている、相続税および贈与税の納税猶予・免除措置にかかる税制改正案が成立すれば本猶予税制度も同様に3年間期限延長されることとなります。医療法人の事業承継(認定医療法人制度の概要)そもそも、認定医療法人制度とは良質な医療を提供する体制の確立を図るための医療法等の一部を改正する法律に基いて、厚生労働大臣の認定を受けた医療法人は移行計画期間中(認定日から3年以内等)に持分なし医療法人へ移行することを前提に以下の税制上の特例措置を受けて承継にかかる税負担無しに事業承継を行うことができるものです。相続税・贈与税の納税猶予及び免除認定医療法人の持分を相続または贈与により取得した場合、その持分に係る相続税または贈与税の納税が猶予される。さらに、移行計画に従い持分を放棄し、持分なし医療法人への移行が完了した時点で、猶予されていた税額が全額免除されることにより、後継者は税負担なく経営権を承継しうる。出資者全員の持分放棄を受けた医療法人の受贈益課税の回避通常、全出資者が持分を放棄すると、法人自体に贈与益が発生したりしたとみなされ医療法人を個人と擬制して贈与税課税が発生する場合がありますが、認定医療法人制度では、一定の要件を満たせばこれらの課税関係が生じないような措置があります。認定申請期限延長の背景にある現状認識厚生労働省の資料によれば、認定医療法人制度はこれまで数回の延長を経て出資持分無し法人への意向につき一定の成果が上がっているものの、依然として医療法人総数約59千件中、36弱件の持分あり医療法人は多数残存しており、その理由としては以下の分析がなされています。出資持分放棄の合意形成の困難: 認定医療法人制度の活用の前提として、持分放棄には全出資者の同意が必要であり、一部の出資者が反対すれば移行できない。そもそも自由診療割合が高く本制度になじまない。美容整形科等自由診療割合が高い医療法人は、その認定要件から本制度になじまないため。運営要件の厳格さ: 認定を受けるためには、社会保険診療等に係る収入金額が全収入の80%を超えることや、理事における親族割合の制限(3分の1以下)などの公益性を担保するための厳しい要件がある。認知不足と先送り: 経営者が高齢であっても、目前の危機(相続発生)がない限り問題の先送りする傾向がある。認定医療法人制度を活用する場合の手続きステップ(現行法制度ベース)① 移行計画を作成して厚生労働省に認定申請を行い認定を受ける。 認定日から3年以内を移行期限とする移行計画を作成し、社員総会等の決議を前提に厚生労働大臣に認定を受けることが必要ととなります。② 出資者全員が持分を放棄して、持分なし医療法人に移行。 移行計画のとおり、認定日から3年以内に出資者全員が持分を放棄するとともに、医療法人が所在する都道府県において、定款変更にかかる知事の認可を受ける必要があります。③ 移行後6年間は、認定要件具備を継続すること。 移行後約6年間にわたり、認定要件を満たし続けて認定の取り消しを受けないこと及びその間の運用状況についての国への報告も必要となります。(認定要件について ※現行法制ベース) ① 法人関係者に対し特別の利益を与えないこと② 役員に対する報酬等が不当に高額にならないような支給基準を定めて いること③ 株式会社等に対し、特別の利益を与えないこと④ 遊休財産額が事業に係る費用の額を超えないこと⑤ 法令に違反する事実、帳簿書類の隠ぺい等の事実その他公益に反する 事実がないこと⑥ 社会保険診療等(介護、助産、予防接種等を含む)に係る収入金額が全 収入金額の 80%を超えること⑦ 自費患者に対し請求する金額が、社会保険診療報酬と同一の基準によ ること⑧ 医業収入が医業費用の 150%以内であること具体的な医療法人の事業承継の検討について即時の現状分析: 自院の純資産額、持分保有状況、推定相続税額などの承継税コストのシュミレーションと現事業の自由診療割合、遊休資産割合等の検証を行うとともに、今後の事業展開も踏まえた移行のメリットを定量化する。法改正の影響評価: 医療法等の一部を改正する法律案における「医師偏在対策」や「機能報告」が自院の将来の事業展開(分院計画や診療科構成)にどう影響するかについても場合によっては検討する必要性がある可能性があります。特に医師多数区域での事業拡大を想定としている場合には事業計画の見直しが必要となることもあり得ます。期限からの逆算: 2029年12月31日は改正後の認定申請期限となりますが、仮に認定申請を行うとした場合の事前の検証・出資持分放棄等の合意形成や定款変更、事前の行政協議には年単位の時間を要するため、遅くとも2028年末までには厚生労働省への認定申請を完了していることが望ましい。出資持分有の医療法人の事業承継の検討をされておられる方へ結果としてクリニックを運営される出資持分のある医療法人については、その事業内容によっては、当然認定医療法人制度がなじまないケースもありますしM&Aの検討も含めて第三者承継を検討する必要があるケースも多々あられると思います。当事務所はクリニックを運営する医療法人の事業承継についてのご相談対応や、承継支援業務について必要に応じて提携する公認会計士、司法書士等々との連携によるご対応が可能ですのでまずは無料相談のご利用をご検討ください。