親が亡くなってから実家の金庫内に、金地金があることが分かりました。その他の財産も含めて相続税の申告の対象となる財産になると思うのですが、一緒に出てきた金地金の購入業者の領収書の日付が平成20年になっておりこのことを友人に話したところ、「金地金の販売業者に「金地金等の譲渡の対価の支払調書」の提出義務が課されたのは平成24年以降だし、しかもこれは金地金業者への売却で200万円を超える取引が対象なので税務署は把握していないから、申告しなくても分からないのでは」と言われました。そんなことがあり得るのでしょうか。金地金等の譲渡の対価の支払調書の提出義務の創設経緯相続税・贈与税の調査や金地金等(金地金、プラチナ地金、金貨など)の譲渡所得等に関連して、過去に申告漏れや悪質な仮装・隠蔽による申告除外の事例が多数発生していたことを受け、新たに所得税法条項に「金地金等の譲渡の対価の支払調書」制度が創設され平成24年1月1日以降に、個人が金地金業者等に金地金等を売却(譲渡)し、対価を得た場合に当該業者に支払調書の提出義務が課されました。但し、1回の取引金額が200万以下の場合は、当該支払調書の提出義務は課されないこととされています。ここで注意が必要なのが過去に、金地金等の申告漏れ、申告除外が多発していたことを受けてその申告漏れ等を防止するために、金地金業者等の負担も考慮して同事業者等が個人から金地金等を買い取るケースに限定して「金地金等の譲渡の対価の支払調書」の提出義務を課したという経緯から分かるとおり、国税当局は、提出金額基準以下の取引があり、場合によっては、本来1取引とすべきものを提出基準以下の複数の取引に分割したり、インゴット等を分割することもあり得ることは当然に想定していると考えられることです。また金地金業者に限らず、法定調書の提出義務が課された各種事業者に対し、法定調書の提出が適切になされているかを確認するための税務調査も定期的に行われています。また、繰り返しになりますが各事業者は取引記録自体はデータ化されていることが通常なため、提出金額基準ベースで適切に提出されているかのみを調査しているのではなく、本来1取引とすべきところ、提出基準を回避するために複数取引を仮装していないかなどの観点でも調査が行われていると考えるべきです。従って単なる風説に惑わされないで、適切に申告計上頂くことが最善なリスク回避となります。申告に計上していなかった場合、単に忘れていたと証言しても税務調査により金地金の存在や申告義務があることを認知していたと事実認定されれば、申告除外として多額のペナルティが課されることとなるほか、金額が大きくなれば脱税犯として告発される可能性すらあります。金地金にかかる申告義務について 相続税・贈与税の申告について 相続税・贈与税において金地金をまずは財産評価基本通達129(一般動産)に従って評価することとなりますが、金地金は取引相場価額が公表されているため、 <相続開始の日の金販売業者の公表買取価格(1グラム)×グラム数> によって評価した金額を相続財産として計上することとなります。また、金地金を相続し相続税を支払った場合、被相続人の相続開始日から3年10ケ月以内に相続した金地金を売却した場合は、支払った相続税の1部を金地金の譲渡所得の計算上経費とできる可能性があります。譲渡所得の申告について金地金の売却にかかる譲渡所得は、総合課税(給与等の他の所得と合算の対象)の譲渡所得となるため、金地金の保有期間に応じて以下の算式にて譲渡所得の金額の算定を行います。なお、金地金の保有期間は、相続人が被相続人が保有していた期間を引き継ぐこととなるため、被相続人の取得費から相続人が売却するまでの期間で判定します。(短期譲渡所得:所有期間5年以内) 譲渡収入 - (取得費 + 譲渡費用)- 50万円(長期譲渡所得:所有期間5年超) [ 譲渡収入 - (取得費 + 譲渡費用)- 50万円 ] × 1 / 2 ※長期と短期の両方がある場合は、50万の特別控除は短期譲渡所得から控除し控除しきなかった金額を限度として長期譲渡所得から控除。まとめ今回は金地金の支払調書制度、相続税、贈与税及び譲渡所得に関する取り扱いについて説明しましたが、相続等で受け継いだ現金など、特に動産についてネット情報などでもバレないなどの風説がよく見受けられますが、国税当局は法定調書に留まらず各種資料情報を想像以上に保有すると考えるべきです。その上でこのような資産の高額な相続・譲渡等についてご不明な点があれば当事務所に是非お問い合わせを頂けましたら初回無料相談にてご対応させて頂きます。