今年の夏に親が亡くなり、その相続財産の中に海外の賃貸不動産があります。海外不動産の賃貸収入などは、税理士を通じてちゃんと申告をしていると聞いてはいるのですが海外財産を持っていると相続税の税務調査の対象となりやすいと聞いたのですが本当なのでしょうか。海外不動産にかかる相続税の税務調査についてお尋ねの、相続財産の中に海外不動産があることを踏まえて相続税の税務調査の対象となりやすいかとのお尋ねですが、その点について令和7年12月に国税庁から発表された報道資料「令和6事務年度における相続税の調査等の状況」を元に解説させて頂きます。https://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2025/sozoku_chosa/pdf/sozoku_chosa.pdf相続税調査の最新の傾向(国税庁発表報道資料:令和6事務年度)上記の国税庁発表の報道資料によると、全体の傾向として相続税の実地調査件数自体が9,512件(対前年比で111.2% )と大幅に増えており、簡易な接触(国税庁が資料情報等をもとに申告漏れ等が想定される申告者に対し電話・文書等による申告内容の確認・是正指導を行うもの)の件数21,969件(対前年比で117%)も含めると調査による申告是正のため調査日数等のリソースを拡大していることが伺えます。これにともなって実地調査等による追徴税額も前年比で大幅に増えていることから、納税者サイドとしても相続税調査に対する対策はますます重要性が増してきていると考えられます。またこの報道発表資料からも、相続税調査に限らず税務調査等全般について言えることですが、国税庁が保有する資料情報等をもとに、より効率的な調査対象案件の選定を行っていることが伺え、国税当局が調査対象とするメインターゲットを設定の上調査案件選定を行っていることは明白であることが伺えます。これを受けた調査ターゲットとして、 海外資産関連事案 無申告事案 贈与税調査事案に重点的に取り組んでいるとされています。この中の海外資産関連事案については、単に相続税申告で計上されている海外不動産などの資産の計上の有無のみならず、国税庁が保有するさまざまな資料情報を元に調査対象先選定をされていると考えられるのが自然で、・国外送金等調書 (100万円超の国外送受金について金融機関に対し支払調書の提出義務を 課したもの)・国外財産調書 (5000万円超の海外資産を保有する納税者に対しその内容を当該調書と して税務署への提出義務を課したもの)・非居住者に係る金融口座情報の自動的交換のための報告制度(CRS)などの情報などの国税庁が過去からの蓄積してきた資料情報を元に申告漏れとなっている確率の高い案件を抽出して実地調査等を行っていると想定されます。さらに、国税庁の報道発表資料から「海外資産関連事案の財産別非違件数」を見ると、海外の不動産そのものの申告漏れもそうですが、海外の預貯金等の申告漏れ件数の割合が増加してきていることから、例えば海外の賃貸不動産であれば不動産そのものより、海外不動産の賃貸収入の受入口座などはどうなっているのかなども、申告前にしっかりリサーチした上で相続税申告をおこなうことが重要であることが分かりますし、「海外資産関連事案に係る地域別非違件数の推移」をみると、北米及びアジア圏の海外財産にかかる申告漏れが多いことから、国税庁としてもこれらの地域にかかる邦人の財産保有状況の把握にリソースを投下していると考えることが自然だと思われます。海外資産にかかる相続税調査に備えるために亡くなられた親御様などが残された海外資産の相続税申告については、相続人の方々が被相続人からお聞きになったり、残された資料のみで申告が完了したと考えられるのではなく、そこから生み出されたと考えられる収益の受入先や、過去の海外資産取引についても考えられる想定を専門家とご相談の上行って頂いた上で、申告手続きを行って頂くことが重要です。また、海外財産の種類やその国の法律によっては海外資産にかかわる部分について制限納税義務者として財産所在地国の遺産税等の申告が必要な場合もありますので(海外においては連邦遺産税のみならず州遺産税などをそれぞれの検討が必要な国もあります。)お亡くなりになられた方が海外財産を保有されていた場合は、国内財産のみの保有者と比してさらに早期の専門家の事前相談が何よりも重要になります。さらに海外財産をお持ちの場合には、税法のみならず財産の名義変更等の相続手続きなども各国の制度により様々ですので当事務所でも専門家のネットワークを通じた対応を行っております。このようなケースに該当される場合には、早めに税理士にご相談頂くことを強くお勧めします。