今私が経営している会社では、本業のほか一部不動産賃貸業も営んでいるのですが、私の子供に今後、その事業を注がせるのは正直難しいと考えています。一方、不動産賃貸業だけなら子供にも引き継げると思うので、本業部分だけ切り出して第三者にM&Aなどで引き継ぎ、不動産賃貸業だけ永続するのが現実的かなと考え始めています。ちなみに、株主は私を含め家族の3名だけなのですが、本業に従事する従業員は20名ほど雇用しています。このような状況で、私が考えている構想を実現する方法がありましたら教えてください。運営している会社の事業の一部の第三者承継について事業承継の大まかな分類としては、①親族内承継②社内承継(従業員等への承継)及びお尋ねの③第三者承継(一般的にはM&A)がありますが、③について会社を丸ごと譲渡するのではなく、会社が行っている複数事業の内、一部の事業のみを譲渡したいというご要望だと思われますので、一般的に当該ケースで活用が想定される2つの手法について、それぞれのイメージ図とそれぞれの手法の税法、会社法等の差異を比較した表をまずはお示しします。手法1:事業譲渡以下のイメージ図は、今経営されている会社を「甲会社」とすると、譲渡対象と想定しているB事業に関連する資産等を個別に抽出して第三者が経営する「乙会社」に譲渡することを想定したものです。手法2:会社分割以下のイメージ図は、今経営されている会社を「甲会社」とすると、譲渡対象と想定しているB事業に関連する資産等を甲会社(存続会社)に残して、それ以外の事業(このケースではA事業)のすべてを会社分割(この場合は税法上の概念である分割型分割という手法で新設会社にA事業を包括的に移転するイメージ)により乙会社に移転することを想定しています。この手法を一般的にカーブアウトと称したりします。事業譲渡若しくは会社分割という手法の比較について事業譲渡とは、会社が特定承継(この場合ではB事業の承継)として第三者に資産等を譲渡する行為をいい、事業譲渡契約に基づき、事業対象部門(この場合はB事業)、譲渡財産、協業禁止義務や従業員の引継ぎ等に関する条項等を定めた上で行います。一方、会社分割(この場合は、税務上の概念である分割型分割)はこのケースでは新設分割計画書に基づき、事業の一部(この場合はA事業)を分割承継会社に資産等や当該事業に従事する従業員を包括的に移転し、分割会社である甲会社(B事業)を甲株式の譲渡にて第三者に承継する手法を指します。この分割型分割による第三者承継は平成29年度の税制改正により、乙会社の支配関係継続を要件として可能となったものです。(支配関係の差異による税制適格要件等の詳細の解説は割愛致させて頂きます。)それぞれの手法の差異については、税務及び会社法の観点を中心に以下の表にてお示ししますが、それぞれメリット・デメリットがあるため、個々の会社の状況や事業オーナーの要望に基づいた最適な手法を選択することになります。なお、会社分割については、税制適格か非適格かによっても税コストが大きく変わってくる可能性がありますので、その点についても事前の検討が必要です。事業譲渡会社分割(分割型分割)税務法人税課税 税制適格分割に該当する場合は承継会社に簿価移転。消費税課税(課税取引)不課税不動産取得税課税(不動産の移転を伴う場合)一定の要件に該当する場合は非課税登録免許税課税(不動産の移転を伴う場合)0.4%(合併・分割による所有権移転)その他法令取引先等との契約再契約包括承継許認可再取得分割会社(元の会社)を第三者承継対象会社とすれば継続労務個別同意が必要原則労働契約承継法により包括承継簿外債務の承継遮断が可能包括承継のため、原則不可まとめ上記は、あくまでも手法の一例の概要情報をご紹介したものであり、具体的に承継を構想されている予定時期や、会社の株主構成、会社規模や従業員数等により具体的手段については事前の詳細なシュミレーション・検討が必要です。さらに、当該手法においても、M&Aの買い手側からの基本合意後のデューデリジェンス等の対応が必要となることが一般的であることからも、事前に当該手法に詳しい税理士のみならず司法書士や場合によっては弁護士等の他の専門家の関与が必要となるケースもあります。そのため、まずは方向性をイメージ頂くためにもご要望がございましたら、当事務所にて初回は無料相談のご対応も可能ですのでご検討を頂けたらと思います。