お悩み父が亡くなり、残された相続人は母と私と兄弟をふくめて3人です。まだ税理士に相談していないので概算ですが相続財産は1億円もいかないと思うのですが、友人から「それぐらいなら配偶者控除もあるから相続税申告は、ほっといても大丈夫」と言われたのですが本当でしょうか。国税庁はどのように相続や財産の概要を把握しているのか?まず国税庁は、すべての国民が亡くなった場合、お住まいのすべての市町村に提出された死亡届により亡くなられた情報を把握しています。(相続税法58条)付随して当該市町村から亡くなった方が保有していた不動産の固定資産税課税台帳登録事項も併せて国税庁に通知されます。また、お住まいであった不動産に限らず、亡くなった方が保有していた全国の不動産登記情報は勿論公的に名義登録が必要な、車などの資産の保有情報も把握されていると思っておかれた方がいいと思います。さらに国税庁は、各種資産にかかる譲渡等の中で一定金額以上の取引は、各金融金融機関、不動産業者や金地金取引業者の事業者等に法定調書の提出義務を課しており、これらの情報から亡くなられた方がその相続発生日に当該財産を保有しているものと推認される可能性があります。以下は法定調書(抜粋)の例示です。生命保険金、共済金受取人別支払調書不動産等の譲受の対価の支払調書利子等の支払調書配当、剰余金の分配、金銭の分配及び基金利息の支払調書特定口座年間取引報告書先物取引に関する支払調書金地金等の譲渡対価の支払調書これらの多くは、資産にかかる一定金額基準以上の取引に着目して提出義務を課しているものですが、当然ストック資産となり得ることは国税庁も認識しているためこれらのデータは蓄積されていると考えるのが自然で、いざ相続が発生した場合は亡くなられた方の死亡届の情報と紐づけされることとなると考えられます。過去国税庁は、FX取引、金地金取引により得た多額の利益が申告されていなかった実態を踏まえ、直ちに関連業者に法定調書の提出義務を課してきた経緯などを踏まえると、近年申告漏れの事例が多い資産取引などについては、新たに支払調書の提出義務を課すことを見据え、国税庁が常に実態把握を行っていると思っておかれた方がいいと思います。また相続財産(相続税評価額)が、相続税の非課税枠(3000万円+法定相続人の数×600万円の合計額)以下であれば申告義務がありませんが、よく言われる相続税の配偶者控除や、小規模宅地の特例等の適用は、法定相続人間等で遺産分割協議を行った上で、これに基づき配偶者や相続人が取得した財産が対象となるため、税務署にそのことを証する書類(遺産分割協議書の写し等)を添付して申告しておかなければ、遺産未分割の可能性に基づき、無申告の疑いがあるものとして税務署からの問い合わせ、税務調査の対象となる可能性があります。ちなみにご参考ですが、大阪国税局が公表している令和5年の相続税にかかる統計データを見ると、私の事務所が所在する奈良市近隣の税務署に相続税申告のあった被相続人ベースの人数は以下のとおりとなっています。 奈良税務署 ~ 1,351人 葛城税務署 ~ 689人 東大阪税務署・八尾税務署計 ~ 1,315人 枚方・門真税務署計 ~ 1,691人 宇治税務署 ~ 701人これだけを見ると以外と少ないと思われるかもしれませんが、大阪国税局管内税務署すべての申告件数計のうち、相続税の課税価額ごとの被相続人ベースの申告件数の分布を見ると、 5000万以下 ~ 5,923人(全体の約19%) 5000万超1億以下 ~ 14,256人(全体の約47%) 1億円超2億円以下 ~ 6,877人(全体の約22%) となっており、このゾーンの申告された相続税の課税価額の、被相続人の人数割合は合計約88%に達します。この人数は課税されているか否かではなく、あくまでも相続税申告されている被相続人ベースの人数なので結果として税額が発生していないケースも含まれています。 対応すべきこと以上を踏まえるとご相続が発生した際には、相続税評価額により亡くなられた方のご遺産額合計がいくらになるのかを把握する。そのためにまずは、亡くなられた方の不動産の固定資産税課税明細や通帳等のご遺産の内容が分かる資料を収集する。さらに亡くなられた方の日記やメモなどから相続財産となる可能性のあるすべての財産の有無を確認する。被相続人の法定相続人が過去に被相続人からうけた贈与の状況を確認する。亡くなられた方が法人オーナー等の場合は、会社の株式や会社との貸借を確認する。税理士に相談して被相続人の過去の職業や、過去に保有していた資産の状況を踏まえて国税庁課に税対象と見込まれる可能性がないか相談する。などを確認の上、相続税の基礎控除以上の遺産が見込まれるのであればすみやかに税理士に御相談頂くことをお勧めします。(もし確認の仕方が分からなければこの時点で税理士に相談されることをお勧めします)相続税に限りませんが、期限内申告が済んでいた状態で、うっかり申告もれがあった場合に仮装・隠蔽とみなされなければ、申告漏れ部分に相当する部分の相続税+過少申告加算税+最大法定申告期限から1年間の延滞税で済みますが、無申告であった場合は無申告となっていた相続税全額+無申告加算税+法定申告期限から期限後申告までのすべての期間の延滞税が発生することとなるためその代償は大きくなります。そのことから相続財産を受け継がれた場合に、間違いなく相続税の基礎控除以下と確信できる場合を除いて、相続税の法定申告期限である10ケ月が到来するできるだけ早い段階で税理士に御相談されることをお勧めします。当事務所も申告の必要性なども含めご相談対応をさせて頂きますので、まずはお気軽にお問い合わせをしてください。