お悩み父が,先祖代々受け継いできた農地を兼業農家として維持し続け、定年退職後も農業に従事し続けてくれたのですが、その父が体が動かなくなってきたので農業従事者を代わってほしいと私に相談してきました。何でも、父が祖父から農地を相続した際に農地の相続税の納税猶予を受けているとのことで、何も対策しなければ死ぬまで農業に従事しなければ猶予されていた相続税を支払わないといけないとのことでした。私も何れは実家に帰って兼業農家を受け継ぐつもりでいたのですが、今すぐには仕事の関係で実家に戻れないのですがどのようにしたらいいでしょうか。検討しておかないと・・ご存知のとおり、相続税の特例の1つとして相続税及び贈与税にかかる農地の納税猶予制度があります。この特例は、農業従事者である先代から、同じく農業従事者となる後継者が農業に従事しつづけることを前提として、贈与者若しくは被相続人から農地を承継した受贈者若しくは相続人の、相続若しくは贈与により受け継いだ農地について、一定の要件・計算のもと農地等に相当する部分の相続税若しくは贈与税を猶予するものですこの特例自体は、贈与税については昭和39年から、相続税については昭和50年に創設されて以来諸々の改正はされてきたものの、当面は継続され続けていくと思われますが、この特例はあくまでも納税の猶予であって免除ではないことから、猶予を受けられた農業従事者はその免除を受けるために原則として終身の営農が条件とされます。(相続税の納税猶予について、一部営農継続期間が20年で免除とされる場合もあります。)もし猶予適用農地等について、20%超(面積)の譲渡、 貸付、転用、耕作放棄をした場合 や、農業後継者が猶予適用農地等での農業経営をやめた場合などは、猶予税額が確定することとなり、猶予された相続税等の本税のみならず猶予期間に相当する利子税も併せて納付することとなり莫大な税負担が発生する可能性があります。そもそも相続税等の申告で農地の猶予制度を受けると、免除されるまでかなりの長期間になることや、納税猶予適用後の税務署の手続きが、3年ごとの継続届出書の提出義務程度のため、うっかり農地の一部を資材置き場としたり、貸し付けたり何等かの事情で遊休農地となってしまっているケースも少なくありません。(私自身、奈良や大阪東部の税務署勤務時代にそのような事態となってしまった納税者をたくさん見てきました。)これらの状況が多く発生していることにつき、過去に税務署は勿論、会計検査院も問題点を指摘したことなどを受けて、農林水産省も各市町村の農業委員会に遊休土地調査の徹底に、つき指導監督を行っています。一方、国税当局などは、各自治体が固定資産税の課税などの用途で、定期的に撮影・保持している航空写真データなどに加え、昨今はgoogle map等などある時点での土地の外観的状況が、写真データ等でエビデンスとして残るケースがあることを認識していることなどから、実態として農地の地目変更等が把握されやすい状況があるといえます。以上を踏まえて農地の営農継続が困難になると見込まれる場合には以下の対策を早めに講じておく必要があります。 対策すべきこと納税猶予を受けている現農業従事者が、猶予税額の確定を回避するための方策として主なものに以下の対策があります。 農業従事者(贈与前3年間以上)として従事実績のある後継者が、先代営農者から農地の一括贈与を受けることを前提として贈与税の納税猶予制度の活用を検討する。 特定貸付け:一定の要件を満たす農業後継者が、農地中間管理事業の推進に関する 法律に基づく農地中間管理事業より貸し付けた場合(市街化区域外の農地) 営農困難時貸付け:身体障害等により営農継続が困難となった場合に、農地等を貸付けた場合上記は一例ですが、いずれにしましても、現農業従事者(納税猶予適用者)に何かあっては取りうる選択肢が限られてきますので、早めに各市町村の農業委員会や当事務所などに御相談ください。