暗号資産取引にかかる所得税の申告分離課税等(改正案について)令和8年度の税制改正によると、仮想通貨取引の所得税が申告分離課税になるということですが、どのような改正が見込まれているのでしょうか。令和8年度税制改正(仮想通貨関連)の概要について政府与党(自由民主党及び日本維新の会)が公表した令和8年度税制改正大綱に基づき、暗号資産取引等にかかる税制の取扱について以下の改正がなされました。本税制改正全体については与党のほか、国民民主党などの意向も反映された中で、暗号資産取引にかかる改正は令和8年度税制改正全体を構成する要素の1つでもあり、通常国会について改正がなされました。当該暗号資産取引の改正の概要は以下のとおりです。(以下の税制改正大綱からの抜粋)※当該税制改正は、前提として金融商品取引法の改正を前提となっています。なおその施行時期は金商法改正法の施行の日の属する年の翌年1月1日からとなります。https://storage2.jimin.jp/pdf/news/policy/212129_1.pdf暗号資産取引業者に対して行う、一定の暗号資産等の譲渡について、分離課税所得として20%(所得税15%,住民税5%)の税率による課税。暗号資産取引業者は、一定の上記暗号資産取引について報告書(支払調書のことと思われる)を税務署長に所定の期限まで提出義務を課す。上記の暗号資産譲渡により生じた損失について、一定の要件のもと、その控除しきれない損失について翌年以後3年間の間の暗号資産等の譲渡所得から繰越控除を可能とする。先物取引にかかる雑所得の課税の特例及び繰越損失の特例の対象に一定の暗号資産デリバティブ取引を加える。総合課税の譲渡所得の起因となる暗号資産の譲渡について、当該総合譲渡の特別控除をできないこととし、長期総合譲渡所得の所得計算上2分の1とする措置を適用できなくする。総合譲渡となる暗号資産譲渡について生じた損失は他の総合課税の対象となる所得の損益通算を適用しないこととする。 等暗号資産にかかる税制改正の背景について今回の税制の改正の背景としては、近年暗号資産が投資資産としての取引の増加に伴って暗号資産市場が拡大しており、投資家保護の観点からも市場の透明性を確保するため金融庁主導で情報開示強化やインサイダー取引への対応が求められてきたこと、さらには昨今の暗号資産等にかかる税務調査上の不正発見の事例などからも、国税庁として当該取引情報の捕捉のため、報告書(支払調書?)の整備の必要性の認識があったものと推察されます。また以降は私見ではありますが、金商法の対象となる投資商品と位置づけると株式等との課税の取り扱いとの整合性の整備が必要となるとの考え方から、これまで原則として総合課税の雑所得として取り扱われてきた暗号資産等の譲渡について、金商法の改正と連動した本税制改正により、一定の暗号資産譲渡等については、株式等と同様の申告分離課税を採用する一方、申告分離課税の対象とならない暗号資産等譲渡については、総合課税譲渡所得としつつもこれまでの雑所得課税と同様の課税の取り扱いとすべく、総合譲渡所得の特別控除額をできないものとするほか、総合長期譲渡所得の計算上、所得金額を2分の1とする取り扱いも適用除外とする改正法となっています。このことにより、暗号資産譲渡について金商法及び税法の両法から見ても所管庁が、取引実態にかかる情報把握を行いやすくしてインサイダー取引の規制や暗号資産譲渡にかかる不正をなくして行く意向があるものと思われます。暗号資産にかかる課税の取り扱いについては、令和6年12月に「暗号資産等に関する税務上の取扱いについて(情報)」が公表されていましたが、今回の金商法改正及び税制改正が正式に国会決議を経た上で、それに伴って当該取扱情報についても所定の改定がなされるものと考えられるため、暗号資産にかかる税制改正の正式かつ具体的な取扱についてはこれらの情報の発遣を待つ必要があります。https://www.nta.go.jp/publication/pamph/pdf/virtual_currency_faq_03.pdf