私は不動産業の法人の代表を行っており、事業内容は、不動産売買のほか借上不動産等のインバウンド向け事業等も全国展開を行うなど、その規模も順調に拡大してきているのですが最近税務署から税務調査の事前通知があり、その際法人税・消費税調査と併せて法定調書にかかる法定監査を行いたいとの連絡がありました。その担当は、所轄税務署ではなく、広域を担当する特別国税調査官とのことで、さらに源泉所得税にかかる広域担当の源泉所得税の特別国税調査官も同行されるようで、なにか大掛かりな調査であるため非常に驚いています。法人税や消費税の調査を過去に受けたことはあるのですが、法定調書にかかる法定監査とはどのようなものか教えてください。法定調書と法定監査についてご質問は法定調書にかかる法定監査についてのご質問だと思いますので、以下この点と関連する情報についてお答えさせて頂きます。まず、そもそも法定調書とは所得税法、相続税法、租税特別措置法および内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律の規定により税務署への提出が義務づけられている資料のことをいい、法定監査とは、法定調書提出義務者が適切に法定調書を提出しているかどうかの税務調査のことを言います。(公認会計士が会社法や金融商品取引法に基づき行う「法定監査」とは全く異なりますのでご注意ください。)法定監査は、所得税法等に基づき書類の提出義務を適切に果たしているかについての税務調査であり、法人税等のように税額を伴うものではないため、法定監査により不備を指摘されたとしても追徴税額等が発生するわけではありません。一方法定監査はいわゆる任意調査の範疇で行われるものですが、税法に定める質問検査権の行使による行われるものであり、正当な理由なく提出期限までに提出しなかった場合や、虚偽の記載をして提出した場合、1年以下の懲役または50万円以下の罰金に処されることがありますので注意が必要です。とは言え実地調査で法定監査の対象となるのは、ご質問の一定の不動産事業者などのほか以下の事業者など比較的規模の大きな企業が対象となり、国税局の課税総括課若しくは税務署の広域担当部署である(開発)特別国税調査官が担当することになると考えられます。(主な法定監査の対象先:以下は法人に限定して列挙) ※給与の源泉徴収票、退職所得の源泉徴収票、公的年金の源泉徴収票等法定調書ですが、これの提出義務者は除きます。都市銀行、地方銀行、信用金庫、信用組合、農業協同組合証券会社生命保険会社等損害保険会社等金地金取引業者一定のフリーランスへの報酬支払件数の多い法人等々また、ご質問の法人であれば以下の法定調書などの提出義務を課せられている可能性があると思われます。(以下では、給与の源泉徴収票、退職所得の源泉徴収票、は除きます)不動産の使用料等の支払調書不動産等の譲受けの対価の支払調書不動産等の売買又は貸付けのあっせん手数料の支払調書 ※上記については昨今増えているの非居住者にかかる支払調書も含む。報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書(司法書士、弁護士等にかかる報酬)また、法定調書の対象となる支払いが源泉所得税の対象と重なること多いものの、源泉徴収義務については、原則として内国法人に対する支払いに関してはその義務が課せられていないため法定調書の提出義務と源泉徴収義務について混同しないよう留意が必要です。法定監査の目的目的はずばり、法定監査対象先の取引先の適正課税の実現のための資料収集です。法定調書そのものは税法により提出が義務づけられたものですが、法定監査は例えば金額基準以下の対象取引についても、支払名目は異なるが実質的に法定調書の対象となる取引でないか?基準を回避するための分割した取引となっていないかなど、該当取引について法令に基づき適正に提出されているかを調査されることになります。また任意で一定の取引に関する資料データ等の提供を求められる場合もあります。法定監査の対応について法定監査自体は、所得税法等に基づく質問検査権の行使によるものであり、任意調査であるとはいえ正当な理由なしに拒むことはできません。そのためにこれに応じる義務があることを前提に、実際に実地の法定監査を受けられる場合国税当局にどのように対応すべきかについて、あまり馴染みのない調査であるため顧問の税理士先生でも場合によってはその対応に困られることがあると思われます。また、法定調書の提出義務の範囲や手法等の電子化については、今後その範囲が拡大することも想定され、現状、基準年(提出年の前々年)の法定調書提出枚数が100枚以上である場合には、e-Taxによる提出が義務付けられますが、令和7年中の要提出枚数が30枚以上である義務者についても令和9年よりe-Taxによる提出が義務付けられることからさらなる法定調書の対応の環境整備が必要となります。当事務所は、金融機関も含めた法定監査の対応も可能ですので、本件のようなご要望がございましたら当事務所にお問い合わせください。